今回は初心者でも簡単にできるデジカメの三脚を使った夜景撮影の方法を紹介します。
三脚がない場合の手持ち撮影での方法は『夜景撮影の方法(手持ち編)~デジカメ初心者向けに設定を解説【旅カメラ】』にまとめています。夜景を綺麗に撮るのは三脚を使うのが基本ですので、まずはこちらの記事を読むことをおすすめします。
2016年のスペインの旅では暗いところの写真があまりきれいに撮れませんでした。理由はカメラの使い方をよくわかってなくてオートでずっと撮っていたからでした。
2016年のスペイン旅行の記録は「初めての海外ひとり旅 目的地はスペイン【1日目⓪】」にアップしています。写真をたくさん使っていますが、暗い場所ではきれいな写真がなかったのでほとんど使っていません。
帰国してカメラについて勉強し始めると、夜景には夜景特有の撮影方法があるという事が分かりました。ここでは簡単な夜景撮影の方法を紹介します。
私が旅行に持って行ったカメラについては「海外旅行にデジカメは必要?スマホよりコンデジ、ミラーレス一眼がおすすめな理由【旅カメラ】」にまとめています。良かったらこちらもご覧ください。
オートモードでなぜ綺麗な夜景が撮れなかったのか?
カメラはセンサーに光を集めて写真を撮っています。夜になると暗くなるのでシャッターが開いている間にセンサーに入ってくる光の量が少なくなってきます。
カメラのオートモード(夜景モード)はこれを補うために、自動でシャッター速度を遅くし、ISO感度を上げてきます。シャッター速度が遅くなると手振れに弱くなり、ISO感度が上がると画質が悪く(ノイズでザラザラ)なります。(詳細はこれから解説します。)
下の写真は2016年にスペインに行った時に撮ったサグラダ・ファミリアの夜景です。コンデジのオートモードで撮影しています。ISO感度が1600でノイズがだいぶ出てしまっているようです。
写真の明るさ(露出)を決める3つの要素
カメラのオートモードを使わずマニュアルモードで撮影する事できれいな夜景が撮ることができます。
マニュアルモードとは写真の明るさ(露出)を決める3つの要素(F値、シャッタースピード、ISO感度)を自分で自由に設定できるモードです。
まずはこの3つの要素を解説します。
絞り(F値)
絞りはカメラのレンズを通る光の量を調整しています。F値という数字で表されます。
絞りを開く(F値小)とたくさんの光がレンズを通過するため写真は明るくなり、絞りを閉じる(F値大)と通過する光が少なくなり、写真は暗くなります。
また、F値が小さいと背景がぼやけ、F値が大きいと背景までくっきりピントがあうという特徴があります。
シャッタースピード(SS)
シャッタースピードはシャッターが開いている時間です。シャッターが開いている時間が長くなれば、センサーにはたくさんの光が入りますので、写真は明るくなります。
ただシャッターが開いている間にカメラが動くと写真はブレてしまいます。したがって手持ち撮影の時、シャッター時間が長くなれば手振れの原因になってしまいます。
また被写体が動いている場合はシャッター速度を速くしないと被写体がブレてしまいます。
ISO感度
ISO感度は写真を適切な明るさにするために必要な光の量を調整します。ISO感度を高くすると少ない光で明るい写真が撮れます。
したがって光の少ない暗い場所ではISO感度を高くすればよいのですが、ISO感度を高くするとノイズが生じてしまいます。(写真がザラザラになってしまいます。)
マニュアルモードでの夜景撮影(三脚使用)
さて、肝心の夜景撮影の方法ですが、きれいな写真をとるためには以下の設定で撮ります。
三脚でカメラを固定しマニュアルモードで各設定をする
まず三脚でカメラをしっかり固定します。
カメラをマニュアルモードにして、ISO感度、F値の順に設定した後、何度か撮影をしながら写真が適切な明るさになるまでシャッタースピードで調整します。
適切なシャッタースピードは長いときは数秒~十数秒になると思います。したがって手持ちでは撮影できません。長時間シャッターを開けてもブレないようにするために三脚が必要になるわけです。(「長時間露光」撮影と言ったりします。)
設定 | 設定値 | コメント |
ISO感度 | 100 | カメラで選べる最も低い値を選びます。Fujifilm X-T2の場合は最小値は200 |
F値 | 8~ | 背景までくっきりピントを合わせたいのでF値は8以上が良いでしょう。F値を大きくすると光芒(光条)が現れます。点光源がきらりと鋭い針状になる現象です。ウニとかウニウニとか言われています。好みの感じに調節しましょう。 |
シャッタースピード | ISO感度とF値を決めたら、写真が適切な明るさになるまでシャッタースピードで調整します。 |
レリーズを使うとブレが防げます
シャッターを切る時にはレリーズを使うと良いです。レリーズとはケーブルの先にボタンがある器具でカメラのシャッターを遠隔できる器具です。シャッターボタンを押す動作でカメラがぶれるのを避けるために使います。レリーズを使えばカメラに触れることなくシャッターが切れます。
レリーズがない場合はタイマー撮影を使うことで、カメラに触れることなくシャッターが切れます。タイマーは2秒、10秒など2種類あるカメラが多いです。短い2秒の方を使いましょう。
手振れ補正はオフにする
三脚を使う場合は手振れ補正はオフにします。三脚の揺れと手振れの振動周期が違うため手振れ補正機能が誤って動作しまい逆に写真がブレる事があるようです。理由はともかくオフにしておきましょう。
三脚撮影が終わったら手振れ補正をオンに戻すのを忘れずに。。。
三脚が使えない場合はカメラを固定する何かを探す
旅行先では必ずしも三脚が使えるとは限りません。そんな時に長時間露光したい場合は、カメラを固定する何かを探すことです。階段の手すりや、テーブル。なんでもOKです。
注意)マニュアルモードとマニュアルフォーカスは違います。
マニュアルモードは露光の3要素(F値、SS、ISO感度)を自由に設定できるモードの事です。これとマニュアルフォーカスは別のものです。
デジカメにはオートフォーカスという機能があります。オートフォーカスは自動でピントを合わせてくれる機能です。これに対してマニュアルフォーカスは自分でフォーカスリングを回してピントを合わせることを言います。
マニュアルモードで夜景を撮影する際にもピントはオートフォーカスで合わせるようにします。(暗すぎてどうしてもピントがオートで合わない場合にはマニュアルフォーカスで合わす場合もあります。)
私も最初のころはしばしば混乱しました。だってみんな「この写真はマニュアルで撮ってる??」て言うからね。。。「どっちの事??」とわからなくなることがありました。文脈にもよりますが、たいていこの場合はマニュアルモードを指しているようです。笑 |
おまけ)水道の蛇口の例え~露出を理解するため
露出の3要素を理解するために「水道の蛇口でコップを満たす」例えばがしばしば使われます。絞りを「水道の蛇口の開き具合」、シャッタースピードを「蛇口を開いている時間」、ISO感度は「水を入れるコップ」に例える例えです。センサーに適切な量の光が入った状態をコップに水が満ちた状態に例えます。
写真を撮るのに適切な光の量を得る=水をコップを満たすには以下のようにすれば良いことが分かります。
【写真を撮るのに適切な光の量を得る = 水をコップを満たす】
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写真のノイズを抑えるためにISO感度を下げ(コップを大きくする)、鋭い光芒を得るためにF値を上げた(蛇口を絞る)場合、十分な明るさ(露出)を得るためにはシャッタースピードを遅くする(蛇口を開く時間を長くする)必要がある事がこの例えでイメージできると思います。
富士フィルムのサイトによくわかる絵もあるので見てください。
参考:富士フィルムサイト~焦点距離・露出数値をコントロールしましょう!
今回は三脚を使った簡単な夜景の撮り方の紹介をしました。夜景撮影はまだまだ奥深くて私も勉強中ですが、今まで『オートモードでしか撮ったことないよ』という方は、まずはこの方法を参考にして夜景撮影にトライしてみてください。
今回の写真は以下で撮影しています。
サグラダ・ファミリア/バルセロナ
旅の最終日に夜景撮影に行きました。日記の方にはもう少しノイズの少ない、別の写真を使っています。スペインには三脚を持って行っていないので、手持ちでの撮影になります。
詳細は『サグラダ・ファミリア夜景~(周辺の治安と夜間ライトアップ時間まとめ)【7日目⑥】』をご覧ください。
ドォウモとサンタ・マリア・ノヴェッラ広場/フィレンツェ
2枚の写真はどちらもフィレンツェで滞在したホテルから撮影しています。ドゥオモはホテルの屋上、サンタ・マリア・ノヴェッラ広場はホテルの部屋の窓から撮影しています。
実はどちらも三脚は使っていませんが、どちらもカメラを固定できる場所を探して長時間露光をしています。
詳細は『3日目(2) フィレンツェ観光に便利なフィレンツェカードを入手し、ウッフィツィ美術館へ』をご覧ください。
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