前回に引き続き初心者でも簡単にできる夜景撮影の方法を解説します。三脚がない場合の手持ちでの撮影についてです。
きれいに夜景を撮影する方法は三脚を使う方法が基本になります。『夜景撮影の方法(三脚編)~デジカメ初心者向けに設定を解説【旅カメラ】』で解説していますので、こちらもぜひ読んでから以下を読み進めていただけるとわかりやすいと思います。(マニュアルモードで夜景を撮影するときの基本である露出の考え方についても説明しています。)
夜景を簡単に撮る方法として、前回説明した長時間シャッターを開けっぱなしにする「長時間露光」が有効ですが、慣れない旅先で三脚を立てて撮影するのはなかなか勇気がいるものです。私も海外に三脚を持っていきますが、なかなか使うことができません。
「夜にひとりでなるべく出歩くな!」と言われているような場所で、三脚を立ててゆっくり撮影するのは現実的には難しい場合も多いと思います。私も訪れたパリ、ローマ、バルセロナなどは夜にゆっくり三脚を立てて撮影するのは少し怖かったです。そんな場合は手持ちでさっと撮影することができると良いと思います。
ということで、今回は手持ちで夜景を撮影する方法について解説します。
ちなみに、私が旅行に持って行ったカメラについては「海外旅行にデジカメは必要?スマホよりコンデジ、ミラーレス一眼がおすすめな理由【旅カメラ】」にまとめています。良かったらこちらもご覧ください。
マニュアルモードでの夜景撮影(手持ち編)
さて、さっそくカメラの設定についてです。カメラをマニュアルモードにして下の表に従ってカメラを設定してください。
F値、シャッタースピードを設定した後に、試しに写真を撮影してみます。撮れた写真が暗いようであればISO感度を徐々に上げていくようにして撮影します。
設定 | 設定値 | コメント |
F値 | なるべく低く | 手持ち撮影の場合はなるべく明るく(F値小)します。F値は最も小さい値より少し絞った方が画質が良いのですが、まずは明るくすることを優先します。 |
シャッタースピード | なるべく遅く | 手振れしないシャッタースピードでなるべく遅く。 |
ISO感度 | はじめは低めに設定し、写真が暗いようなら徐々に上げていきます。 |
手ブレしないシャッタースピードについて
光の少ない夜景撮影ですので、なるべく長時間シャッターを開きたいです。かといって、手ブレしてしまっては元も子もありません。ということで、手ブレしないシャッタースピードを知る必要があります。一般に手ブレしないシャッタースピードは以下の式で求められます。
手ブレしないシャッタースピード
=1/焦点距離(35mm換算) 秒
今使っているレンズの焦点距離が35mm換算で27mmであれば、1/27秒(=1/30秒)くらいまで手振れしないで撮影可能ということになります。 |
焦点距離(35mm換算)とは?
焦点距離とはレンズの中心である「主点」から撮像素子に結像するまでの距離のことです。
この数字が小さいと広角を映すレンズ、大きいと望遠のレンズになります。(例えば10mmは広角レンズ、200mmは望遠レンズになります。)
ところがややこしいことに同じ焦点距離のレンズでもセンサーサイズが異なると、映る範囲が変わってきます。これではややこしいので通常は「フルサイズセンサーだとどのくらいの焦点距離なの?」という換算を行います。
結局、35mm換算とは? あなたのカメラのセンサーサイズがAPS-Cであれば1.5倍(キヤノンは1.6倍)。マイクロフォーサーズであれば2倍をするとフルサイズでの焦点距離(35mm換算)になります。(もちろんフルサイズならばそのままの値です。) 今レンズの焦点距離が10mmの場合、35mm換算すると
になるわけです。 |
手ブレ補正機能について
持っているカメラのレンズに手ブレ補正機能がついていますか?「手ブレ補正機能〇段」という言葉を聞いたことがあると思います。上の式で求めた手ブレしないシャッタースピードは手ブレ補正機能がない場合になります。
一般にカメラのシャッタースピードは以下のように設定できます。右の方が速いシャッター速度になります。それぞれのシャッター速度は倍々に変化している事が分かると思います。(一部違いますが。)
この隣り合う設定を「段」と言います。
もし上で計算した手ブレしないシャッター速度が1/30秒だった場合。レンズに4段の手ブレ補正機能があったとします。そうすると4段分遅いシャッターでも手ブレしないということになります。つまりこの例では1/2秒まで手ブレせずに撮影可能なレンズであると言えます。
自分の手ブレしないシャッタースピードを知ろう
さて、ここまで解説してきてなんですが、上記で求めた『手ブレしないシャッタースピード』は万能ではありません。あくまで目安として考えてください。
『手ブレせずに撮影可能なシャッタースピード』はカメラの構え方で全然変わってくるからです。日頃から『自分はどのくらいなら手ブレしないのか?』という事を知っていくことが大切です。
(ちなみに私は上記で求めたシャッタースピードだと手ブレする場合が多いです。きっと構え方が未熟なのだと思います。。。汗)
ノイズを許容できるISO感度を知ろう
三脚を使っている場合は写真の明るさが足りなかったらSSを延ばしていきましたが、手持ちの撮影の場合はISO感度を上げていきます。
ただISO感度を上げると写真にノイズが出てきます。ISO感度によってどのくらいのノイズが出るかは、カメラによって違います。なので、自分のカメラでISO感度をどのくらいまで上げてもノイズが許容範囲かをあらかじめ確認しておきましょう。
ISO 1600,3200,6400などで写真を撮ってみて、画質を確認すればOKです。ここで注意するのはパソコンの画面だと拡大できすぎるので、ノイズがモロ見えになってしまいます。実際に自分が見ることになるサイズで確認すればよいでしょう。印刷する方は印刷してみると良いでしょう。
今回は手持ちによる夜景の撮影の方法をまとめました。この方法はおそらく少し練習が必要だと思います。
この記事を書くにあたって私も旅行中に撮った写真の撮影情報を改めて見直してみる良い機会になりました。『なんでこんな設定で撮ったんだ!』というヘンテコな写真もあり改めて勉強になりました。
今回の写真は以下で撮影しています。
ソーホー地区/ロンドン
ロンドンのソーホー地区でフィッシュアンドチップスを頂きました。ホテルへの帰り道で撮影いました。詳細は『ロンドン初日。ソーホー地区のパブでフィッシュアンドチップス【1日目②】』をご覧ください。
モンサンミッシェル
旅の途中で知り合った方と、モンサンミッシェルにあるラメールプラールというレストランで名物のオムレツを食べました。夕食後ホテルへ戻る途中に撮影しました。詳細は『ラ・メール・プラール~名物のふんわりオムレツを頂く。【7日目④】』をご覧ください。
コンシェルジュリー/パリ
パリの夜景バスツアーで立ち寄りました。(車窓からの撮影です。)詳細は『パリ夜景ツアー~パリの夜景を楽しみたいけど夜の治安が心配。。。【4日目③】』をご覧ください。
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